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サービス・ラーニング

Service Learningとは奉仕活動と学習活動を統合した学習です。わたしは自分が教えている大学であるBYUで、このような学びのモードを高めるにはどうすればよいのか、具体的な方法を求めて研究開発をしています。自分でも、その経験がどんなものであるのか、実験的な試みをしています。

授業や教科書で学ぶことを頭に詰め込んで、テストにそれを吐き出すというのと、学んだことを応用して、あるいは自分にある知識や経験を総動員して、現実的な問題に取り組んで、何らかの実用的な解決方法を見いだすというのとでは、頭の働きに大きな違いがあります。もちろん、奉仕活動の中では、後者のような働きが起こるわけで、それこそ、学生たちが社会に出てから一番必要としている力です。

先日、ビジネスでかなり成功して、大きな富を築いている友人と話していました。大学では、ビジネスを専攻していたのです。それで、大学での勉強がどれほど彼の成功に役立ったのかと尋ねると、ほとんど役に立たなかったと断言しました。

今、模索しているのは、大学のキャンパスで、自然な方法で、学んでいることを活用できる奉仕の機会をどのように創り出せるかという点です。

知源育の使命

どんなに成功したプロジェクトでも、もしそれが全く利己的な目的にしか貢献しないのであれば、空しいものです。結局自分にもその否定的な影響力が戻ってくるでしょう。「天網恢恢疎にして漏らさず」とはうまく言ったもので、必ず報いは来ます。

ですから、知源育のプロジェクトによって何らかのスキルや能力を伸ばす目的は、天と人によりよく仕えることです。もしその基本的な姿勢がしっかりしているならば、数々の喜びや充実感があり、何よりも自分の成長は加速するでしょう。Service Learningという教育方法がありますが、そのことについて次に語ってみます。

たかがゲーム

大分前になりますが、2007年の春から10ヶ月ほどインターネットのゲームで、知源育を応用してスキルの向上を組織的に行ないました。たまたま、家庭環境がそれを許してくれたので、おそらくトータルで200時間近くそれに力を注いだかもしれません。ゲーム自体を楽しんでいたという事実を否定はできませんが、知源育がどのようにしてわたしたちのスキルを伸ばすのに役立つかを研究していたのです。

200ページぐらいの記録が残り、印刷してある紙の裏を使って資源を節約していたということもありますが、束ねると3センチくらいの厚さになります。その中には貴重な気づきのメモがあちこちに散らばっており、わたしにとっては宝の山です。

少なくとも2つのレポートにまとめたと思いますが、その1つは、スピリチュアルな方面への応用について書かれています。ちょっと想像を超えた発想が生まれてくるものだと、自分ながら、レポートを仕上げるプロセスで起こる神秘に驚いています。

不器用で、家族4人の中では、競争するとこのようなゲームでは、たいてい一番ビリになるわたしがですが、何と、5月にスタートして、7月には、世界中に散らばっているゲーマーと競争し合って、なんと世界一の座を占めることになったのは驚きというしかありません。

今、この記録を掘り起こして、それに啓蒙されて新たな発想を切り開いてみたいと思っています。1つの分野である深みに至ると、それ以外の分野にもさまざまな応用の可能性が開かれてくるだろうと思うからです。

ローカルリソース

ローカルリソースには限りなくいろいろなものがあると思いますが、その中でも人がリソースになってくれることは素晴らしいことです。専門家だけが助けになるというわけではありません。ただの普通の人が、さまざまな面白い考えを生み出す助けをしてくれます。わたしはよく学生たちと話をします。アシスタントとして正式に働いてくれる人もいますが、そうでなくても、互に教え合い、学び合うことはできます。彼らが特にその領域のエキスパートである必要はありません。彼らと話していると、そのトピックについての自分の考え方が、練られて、洗練されて、それを簡潔にメモしておいて、後から何度も復習すると、素晴らしい考えに発展することが多いです。なかなか、1人で考えていると行き詰まることが多いのですが。

体に覚え込ませる

頭では分かっているのだけど、行動の方はそれに伴わないことってありますよね。わたしのように老齢に入っている人間は特にそうなのかもしれませんが、なかなか体が覚えるのには時間がかかります。テニスのプロジェクトをこの半年以上熱心にやっていますが、サーブのトスの練習をした経験から、体が感覚を掴んで、思ったとおりに動き始めるようになるプロセスを体験しました。ほぼ毎日、20〜30回を室内でトスする練習を2つのセットで、来る日も来る日もやっています。2ヶ月くらい経ったある日、突然正確にトスすることができていたので驚きました。その経験で、体が覚えるのにはどのくらいの練習が必要なのか分かってきました。面白いものですね。

メンタルマークを忘れずに

何かのスキルや能力を伸ばすための知源育のプロジェクトをやっているとします。必ず、サイクルを進化させているので、実践すると新しい局面が現れてきますね。すると何らかの気づきが起こります。その瞬間にメンタルマークしておきましょう。それは、そのポイントに意識を向け、言葉にして言ってみるといいのです。ただそのような単純なことで、ともすると見過ごしにされる、その場限りであっという間に忘れてしまうポイントを思い出す手がかりを残せるのです。わたしは、活動の直後に音声ファイルにして短く記録することにしていますが、とても貴重なものです。

気が乗らない時には

やる気が起こらない時ってありますよね。いろいろな対処の方法があると思います。チェックリストに入れておいて、何度も見るという方法もあります。意識に何度も上ってくると、行動にも移る可能性が上がってきます。わたしなどは、やるべきことのやり易い、小さな部分をとりあえずやってみると、けっこうやる気が出てきたりします。疲れている時は、やる気がでないのも不思議ではありません。タイマーをかけて、10分だけでも横になってみると、一挙に元気が出てくることが多いです。

大き過ぎる課題を目の前にすると、ちょっと尻込みして、後回しになりますね。そんな時、一度に15分だけやってみようという風に決めて、根気よくそれを繰り返すと、かなりはかどったことに気づいて満足感が起こります。とにかく、知源育のプロジェクトにおいては、継続は力なりです。やる気を保つ工夫をしましょう。

テニスのプロジェクトから

半年ほど、テニスのプロジェクトに力を入れました。しばらく前にそのレポートも仕上げ、何人もの人に読んでもらっています。12年もテニスを熱心にやって来て、最近数年はほぼ横ばいで、成長がありませんでした。この数ヶ月、著しい変化が起こったことをまとめると、

効果的な練習とは、何か極めて特定なものに的を絞り、その点についての高頻度の定期的なドリルをして、頭と体がそれに慣れるようにサイクルを導入すること。

つまり、ただ時間をかけて練習をしていればいいのではないのです。ピンポイントでフォーカスしていなければなりません。そして、自分にとって興味のある方法で、何百となく何千となく、練習を重ねることです。

アルバート・バンデゥーラの業績

アメリカとカナダの国籍をもった心理学者、バンデゥーラは、最も引用される著者の1人です。彼のSelf-efficacy(自己効力感)*についての研究は有名で、人は、これが強いと、ものごとを達成することがよくできるようになります。知源育のプロジェクトをいくつも熱心にやって、成果を経験すると、この力が強くなること請け合いです。この自己効力感は、だいたい人が一般に「自信」と言っている概念と重なっています。

仲間が成功しているのを見ると、励ましを受けると、この自己効力感は増します。だからこそ、仲間と一緒にチームを作ってプロジェクトをすることがお勧めなのです。

*:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E5%8A%B9%E5%8A%9B%E6%84%9F

仲間をつくって

何度も書きますが、1人でやると続かない時、一緒にやってくれる人がいると一挙にやれる可能性が高まります。そもそも「人」という字の形が表しているように、人間は互に支え合ってできるものです。

わが夫婦は、小さなことで小競り合いをしていることが多いのですが、自分とは違う感じ方をし、違う特質をもった伴侶が、自分を磨いてくれ、少しでもまともな人間に近づけてくれるというのはものすごくありがたいことです。

必ずしも同じプロジェクトに向かっていなくてもいいです。自分のプロジェクトについて、あるにはそのほんの一部だけでも、話し合い、励まし合う関係を築くのは、わたしたち自身にかかっています。