知源育をするには、記録がないと進みません。その深遠な力については、何冊もの本にまとめてもまだ書き足りないくらいだと思っています。以前に書いたかもしれませんが、大学でのエピソードです。ある共同研究に関心を持ってくれる人を探して、教育関係の学部を訪問していました。受付の学生に聞くと、都合の良い教職員はいず、彼と「書くことの意義」について雑談をしていました。その時に彼が話してくれたことです。
ある時、学問上のあるポイントについて、ある教授に質問していました。するとその教授の答えの面白かったこと。「その質問ね。答えはすぐにはいえないけど、一度そのテーマで書いてみるからね。そうしたら君に答えてあげられるよ。」こんな答えが戻ってきたそうです。
わたしは、そのように「書くこと」の意義を表現した教授の見識に敬意を払う気持ちでいっぱいになりました。実に達見ですよ。書いているうちに、考えがまとまってくるものです。それまで何となく、漠然と考えていたことがすっきりしてくるのです。新しい気づきや発見も起こってきます。