周りを見回すと、長い冬の間じっと殻に閉じこもっていた植物の芽が一挙に吹き出しています。生命の不思議に心が躍ります。
何年も前に、家の改装のプロジェクトをしました。プロに頼んで30センチ以上もある厚みの地下のコンクリートの壁に穴を開けてもらい、新しい窓をつける作業をしました。その後、取り出したコンクリートの塊を運び出せる大きさに割る作業をしたのです。5キロくらいはある長い鉄の棒の先が楔になっている道具を使って上から振り下ろして砕こうとしました。びくともしません。根気を試す実験だと心に言い聞かせて何回で割れるか数えてみようと思いました。800回を越えてもほとんど小さなかけらさえ崩れてくれません。しかし、960回とかだったと思いますが、いきなり固まり全体にひびが入る気配がしました。それから10回もたたない間に、実に見事にパカッと半分に割れてしまったのです。
900回を越えるまでの気が遠くなるような長い時間、ほとんどたいした変化を見ることができませんでした。しかし、目に見えないところで、コンクリートの中に小さな亀裂がたくさんできていたのだと思います。あの時の感動と、驚きを忘れることができません。そして、私たちが何か大きな壁にぶつかってそれを越える時も、それと同じような経験をするのかもしれません。このようなことを一度経験すると、自信が確実に増します。