実践の中では無数のことが同時に起こっています。私たちを取り巻く状況はいわば雑音が満ちた中を進んでいる状態です。その中にともすると埋没しそうなメッセージをどのように聞き分けたらいいのでしょうか。
アメリカに住んで長くなりますが、勘が悪い方で騒々しい環境で誰かが何かを伝えているのを聞き取ることが難しいと感ずることが多々あります。ネイティヴの人は得てして、いつもではないにしろ、ノイズの中から断片的にしか聞こえてこないメッセージでも掴んでしまいます。仕事柄、結構騒がしいところでいろいろな情報のやり取りをしなければなりませんから、だんだん鍛えられています。中にはモソモソとしか話さない人もいて、いちいち聞き返すわけにもいかず閉口することもありますが、状況から判断して大まかなことを確認するだけでよいということにして先に進みます。面白いことは背景の知識が豊かになればなるほど推測が効くという現実です。
知源育のプロジェクトを実践している時にも、このような聞き分ける力が必要になってきます。いくつかのプロジェクトで成功して勘をつかむと、たくさんある雑音の中から大切なピントをつかみ取るスキルが発達します。それは第5原則を丁寧に応用するプロセスで身につくものです。