失敗の中に

物事がスムーズに進んでくれればいいのにと望むのは世の常です。しかし、知源育のプロジェクトを進めていて思うことは、スムーズに進んでいるときはかえって学びが少なく、長い目で見ると成長を阻むことにもなりかねません。何かに失敗したり挫折したりするとき、隠れた事実に目を開かれることが多くあります。

クルマのオーナーシップということを例にとります。すべての機能が順調である時には何の注意も払う必要が無く、クルマはただ交通の手段として利用されているだけでしょう。車検でブレーキが摩耗していると分かったり、エンジンが突然止まったりすると、そのことで私たちの意識は普通意識することの無かったクルマの特別な機能や部品について関心が向けられ、それぞれの問題を解決するプロセスで、クルマがどのようにできているのか、大切に長持ちさせるように乗るためにはどういう点に心がけなければならないのかというような事柄に目が開かれます。アメリカで中古車を何台も乗り潰した経験によりたくさんのことを学びました。物事がすべてスムーズに進んでいたら、細かいメカニズムについての深い理解は決して得られなかったでしょう。

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