ユニークな状況に身を置いて

知源育を実践していて比較的素朴な方法で進んでいながらどうして思いがけずすばらしい理解が開けてくるのか不思議になりますが、そのへんのメカニズムを解明したいと思います。第4原則のサイクルですが、3つの要素があって、2番目の要素である「実践」が欠かせません。アイデアをいくら練っていても、それに関する情報をいくら集めても十分ではありません。実際に試すこと、自分の案と現実との接触を経験しないとだめなのです。

それはどういうことなのか、たとえを使ってポイントを掘り下げてみましょう。物事の見え方を、自分の周りの環境をいろいろな角度や場所から見ている状況に例えてみます。自分の部屋の窓から見える景色、近くのデパートの屋上から見る景色、東西南北いろいろな角度から見ることで見え方が大きく変わります。近くの丘の上から見たり、遠くの高い山の頂上から見ればまた違った景色が見えるでしょう。実践しながら自分の目の前に開かれる現実もそれに似て、自分がどこにいてどのような観点から見ているかによって大きく異なる現実が身の前に現れてくるのです。実際にはそれよりもう少し複雑で、自分がどのように活動をするのかによって、場所や自分の観点だけでなく見え方が変わるのです。ある特殊な理解や知識は、自分がそれに合ったユニークな状況に身に置くことによってのみ見ることができ、それ以外の方法では決して得ることができないのです。

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