積み重ね

記録に関することが続きますが,なかなかそれがネックになって知源育のプロジェクトの成果が出せない人が多いので,ここで知恵と励ましをもらって下さい。私のように能力的には凡人である人間が知源育の力で多数の自己開発のプロジェクトに驚く成果を出した理由が記録にあるのです。

頭の中だけで考えている場合は,一度に想起できる事柄が極めて限られます。数種類の関連したことが一度に思い出せるだけかもしれません。人間って,思い出したい時にそのことが思い出せないことが多いのです。記録を上手にまとめる人はそれを何倍にも,あるいは何十倍にもできます。ですから考える材料の豊かさが違います。さらにその材料には何度も繰り返し戻って来れますから,考えの緻密さに著しい違いが出てくるのです。

その違いをイメージしてみます。フェイスブックに自分がキャジュアルにとったビデオの1分間のクリップを掲載したものと,宮崎駿がスタジオジブリやその他のスタッフと超大作に挑んで完成したビデオとの違いはどうでしょうか?確かに内容の豊かさや完成度の点で雲泥の違いが出てくるでしょう。知源育の原則に従いながら記録に基づいて考え、進めていくことにはそのような違いを演出する力があります。ですから,小さな記録であるとは感じながらも,大切に「積み重ね」て下さい。

軸がしっかりしていないといいショットができない

テニスのスーパースター錦織圭選手についての番組でスポーツ評論家が「他のトッププレーヤーと同じで軸がしっかりしている」と評していました。正確なショットは体の軸がしっかりしていて初めて打てるものです。私たちのプロジェクトの確実な進歩も私たちの態度の「軸」がしっかりしていることにかかっています。心が動揺しているとき,正確に判断し,大切な情報を的確に処理し,豊かな学習を起こすことができません。そうです,第3原則の5つのPが自分の取り組む姿勢の中にしっかり定着していればこの軸が坐っていることになります。5つのP(Positive, Proactive, Patient, Peaceful and Panic-free;積極的、前向き,忍耐,平静,慌てず)がどれほど毎日の活動に反映しているかチェックしてみましょう。

書くというハードル

記録をつけることがハードルになっていませんか?習慣になっていないと,「後でやるからいいや」「今ちょっと手が放せないから」「もう疲れてしまって何もやりたくない」などの内なる声に抑え込まれて記録に手が出ません。知源育のプロであるはずの私にも記録をつけるはずであっても気が乗らない時もあります。しかし,記録しないことによって失うものは莫大です。それに気づいていればいるほど,もう少し元気が出てきた時に,もう少しゆとりのある時に記録を再開できます。

先ず,筆記用具をいつでも身に付けて,あるいは身近においていてすぐ手の届くようにしておきます。書くべきことは思わぬ時に起こってくることが多いからです。信号待ち,レジで並んでいる時なども活用できます。これはと思った時に筆記用具がなかったり手が放せなくても,例えばだれかと話し中,活動の最中,運転中などの時ですが,それでもメンタルマークをつけておいて,できるだけ早い時期にそれを書き留めます。記録したことが宝であることは何度も復習すると分かってきます。どのようにしたら記録することがより自然な形で生活の中で習慣として定着できるでしょうか?

アイデア:芽生えから実現まで

アイデアの始まりはボンヤリとしてつかみ所のない印象だったりします。いいことをどんどん実現したいですよね。それがどのように起こるのか目を向けてみましょう。意外と,すごいアイデアがもう既に身近なところにいっぱい転がっていますよ。

何かを実践していると次から次へと色々な考えが浮かんでくるはずです。現実の体験に刺激を受けて考えが浮かぶのです。最初は形の定かでない,もやもやとしたものかもしれません。ある種のヒラメキ(すごいものである必要はない)とかちょっとした気づきです。「これって、どうしてこうなっているのかな?」そういう素朴な質問で引っかかって来た何か,それにちょっと注意を向けてみるのです。

ここで記録術が生きてきます。図解であったり,片言を並べるだけでも効果は絶大です。空中の浮遊物みたいのがしっかり着地する瞬間です。いったんそこに定着しておけば後でまた振り返ることができます。そうする度にアイデアがより具体的なものになります。

マルチタスクのスキル

1定の時間にたくさんの仕事をやり遂げたいと思いませんか?そのスキルを高めることはできますよ。先ずはそれが何であるかを追究することから始めましょう。周りをみて下さい。すごくテキパキと事務を進めている人がいませんか?そういう人たちのことを観察したり,その人たちからヒントをもらったり,自分でもあれやこれやちょっとしたコツを見つける努力をしてみましょう。第2原則を生かして,限りない身近な資源を掘り起こして下さい。

前にも繰り返していますが,私たちの生産性は一定ではなく,著しく変化します。時間を設定して,あるいはある時刻に間に合わせようとして夢中にあれもこれもする時に通常の何倍ものことを処理していませんか?集中力1つでどれほど人間は物事をやり遂げるものでしょうか。時には,疲れや眠さからか,あるいは気になることが心にかかっていて集中力がなくだらだらと時が流れることもありますね。仕事や大切な人々との活動などにおいては,質の高い時間をそれに向けたいですね。毎日をよく組織することによってそれが可能になります。配分とバランスが大切です。

私はどちらかというと朝型ですから,よく休んだ朝は精神がとりわけ活発に働きます。そんな時にはよくマルチタスクが起こっています。マルチとは複数のことを指し,タスクというのはやるべき事柄ですね。つまり,同時に色々なタスクを処理してしまうことです。それもものすごく神経を張りつめて,ストレスの溜まるような作業でではないのです。余裕があって,けっこうスムーズで流れるように自然に進んで行きます。例えば,洗面や朝食の準備といっしょに,トイレやキッチンの汚れたところを掃除したり,壊れたものを修理したり、1日のスケジュールを確認したり,色々な発想が出てきてそれを書き留めたりということが同時に起こってしまいます。体がどんどん動いてくれて,気がどんどん回っているという状態です。主婦の方達が家族の出がけを手伝う時には同じようなことがもっとすごいレベルで起こっているかもしれませんね。周りのプレッシャーなしに,自発的に休息やゆったりする時間もバランスよくとりながらマルチタスクができるように鍛えてみませんか。

 

 

左手で書くというチャレンジ

何か新しいスキルを伸ばしてみませんか?「芸は身を助く」と言われますが,日頃色々なスキルを伸ばせておけば,思わぬ時に役立ってくれます。どんなことでもいいのですが,一定の期間試してみると特定な成果が見えて面白いです。

私は,友人から誘われてテニスのスキルを伸ばすことになってから色々なことが起こりました。健康が改善し,気分の切り替えがよくなり,友だちがたくさんでき,やがてプロのコーチにもなってしまいました。家族とも一緒に楽しむことができ,とりわけ孫と遊ぶのは最高です。自分には全くないと思っていた才能を引き出した経験です。

今密かに続けているチェレンジがあります。左手で書く練習です。始めたり止めたりで,それほど熱心にやっているわけではありません。ぼんやりと「これやったらどうなるかな?」という遊び心でやっていたのですが,ある時もっと定期的にする転機がありました。日曜日の集会に出る時,お話をメモするのを一切左手で書くことにしたのです。当然カタツムリのようにゆっくりとです。しかし,右手でとるメモよりも簡潔で見やすいことが分かってきました。というか,右手ではわざわざメモをとらないのが普通でしたから,記録があるだけでも助かります。もう2年目ですから,少しはスピードも出てきたことと,字の形や大きさにも改善が見えています。私のようにたくさんの記録を書く人間にとっては,時には右手が疲れてしまうこともありますから,ペンをそっと左手に持ち替えて書き続けることができます。左手で書いている時,脳の別のところが刺激されているように感じますよ。もっと発想が豊かになるかな?

カレールーが溶けて全体に混ざるとき

料理からヒントを得たこと。毎日の活動の中で,色々なところにヒントが隠れています。ある時,煮物をしてその中に加えたものが全体に広がっていくのは,鍋を下から熱していて対流があるのだから自然に起こるだろうと期待してました。ところが鍋の中に落としておいたカレーのルーがしばらく経ってもまだ1か所に固まっていたのです。それで,もちろん当然のこととしてかき混ぜたのです。その掻き廻すという操作が一瞬にしてルーを鍋全体に拡げてくれました。

つまり,自然の過程を待っていてはなかなかルーが全体には広がってくれませんが,それを期待した状態にするのには,ほんのわずかな作用ですが,掻き廻すことが必要で,その小さな努力によって一挙に全体のカレーに影響が及びます。知源育のプロジェクトをする時に,これと似たようなことが起こります。活動をただほうっておくのでなく,意図的にある種の操作をするのです。すると一挙にその成果がプロジェクト全体を高めます。それは何だと思いますか?5つの原則のどれもが関係しています。どのようにですか?

知源育のサイクルを使うと進歩が加速する

ビジネスとか,何かを前進させようとして思うように行かないと感じていませんか?あるいは,一応,知源育のプロジェクトとしてやっていることがあり,その中であるところがネックになってはかどらない。それは分かっていてもなかなかそこにだけ注意を向けられないということはありませんか。そんな時には,的を絞ったプロジェクトを設けることが好ましい。

具体的な変化を起こすためには,目的がはっきりしていなければなりません。空を打つような拳闘は何の威力もありません。変化は継続的な,一定の強度を保った訓練によって生じます。無理し過ぎてもだめで,また強度が不足していると成長しません。もちろん,ランダムに,気がついた時にだけ鍛えるというのでもうまく上達しません。目標を書き出し,ウィークリーのプランナーを使って日々の実行をモニターし,規則正しく記録をつけて,気づきやアイデアや疑問を書き出します。それを何度も復習し,報告のモードを使って自分の中で整理し,周りの人々とわかち合いながら,彼らからもフィードバックを受けてさらに考えを豊かにし,練ったものにします。そうすれば,確実に成果が出てきますし,成長は加速します。よい望みであっても,まだぼんやりとしたものであれば,知源育のプロジェクトとして正式にスタートしてみませんか。

マンネリ化を乗り越える

現状に満足していますか?あらゆる物には「慣性の法則」が働いていますね。それはニュートン力学の中で,運動の第1法則と呼ばれるもので,万物にはその状態(ある一定の運動ないしは静止)を維持しようとする性質があることを「慣性」というわけですが,私たちの精神も同じ法則に従っているようです。要するに「怠け者」の精神と言ってもいいでしょう。人を現状から変えさせることは実に厄介なことですよね。何か新しいことをやりましょうと提案して,大多数の人たちからブーイングが起こったという経験があるでしょう。

大抵の人たちは,面倒なことをしたくないですし,現状を変えたくないのです。ですからすごい抵抗が起こってきます。私たちの心の中にもそういう傾向があります。どうやったらそれを乗り越えられるのでしょうか?まず心に「望み」の種を蒔く必要があります。「やりたい」「そんなのできたらいいな」「できるかもしれない」という意識はだれかといっしょに活動をしていた時に,あるいはだれかの話を聞いたり,読んだりした時に芽生えるかもしれません。しっかりした種がまかれたら,後は知源育の5つの原則を応用してプロジェクトにするればどんどん伸びていきますね。

観察力は育つ

観察力は生来のもの?ある人たちはすごい観察力がありますね。芸にも秀で,物事の仕組みをたちまち探り当ててしまいます。私は本来観察力が弱い鈍感タイプで,5段階評価をすれば,おそらく1ぐらいだったでしょう。身の回りにある道具類の使い方や修理,人の行動から見よう見まねで学ぶというようなことについてすごく苦手でした。もっと観察力がよかったら色々なことの上達が早くなると思いませんか?

この10年間で驚くほど観察力が増しました。何十となくやってきた知源育のプロジェクトのお陰です。身体能力などに関わるたくさんのプロジェクトをやっているうちにするどい観察力が次第に身に付いてしまいました。観察力なんてものが鍛えられるものだとは想像もできませんでしたが。仕事柄,エンジニアリングの人たちと親しく接していることも,彼らといっしょに作業をしていることも役に立っているようで,第3原則に基づいて,彼らといっしょに課題と格闘している混沌の中で,心を開いていますから,彼らの影響力(考え方,行動の仕方,感じ方など)がどんどん自分の中に流れ込んできます。ですから,道を歩いていても,様々な構造物の仕組みに深い関心を持ち,動植物の生長の様子にも敏感に感動したり感情移入してしまいます。観察力は意識してプロジェクトを重ねることによって訓練できるものです。